わめくねごともじ

美容師辞めたいから辞めたへ。過去を棚卸し、空をアウトプットして私を絞り切るブログ。何か見えてくるかな?

コンビニ人間はサイコパスなの?(からあげ棒改正版)

 

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芥川賞受賞作家の村田沙耶香の〝コンビニ人間〟を読んだ。文庫を待っていたが、よいタイミングが訪れたので。
ブックオフにて古本&ゲームソフトの査定待ち時間に。1時間は待ったのよ。
ほら、「店内でお待ちくださーい」=立ち読みでしょ?
(買ってないのに感想書きます。ゴメンナサイ)
 
 
何とも読みやすかった!凄いな!
クセがないのは読者に媚びてないからか。〝コンビニ人間〟そのもの。
 
コンビニ店員の古倉恵子。結婚しないのとか、就職しないのとか周りに言われ続けコンビニで働くこと18年。解き放つための同棲を始める。社会不適合者、白羽と。お互いを社会の底辺と認め合いながら(?)ある時にコンビニをやめる。白羽のすすめで就活を始めるが、アノ声を聴いてしまう。やはり【世界の部品】になるにはコンビニ人間しかないとコンビニに戻るあの描写。コンビニに吸い込まれてく古倉恵子に鳥肌が立った。
 
コンビニでのアルバイトの描写がかなり細かく書かれていて、じわじわきた。身近に感じるのはやっぱりコンビニが舞台だからなのか。
 
『そうだよ。今日からセールなの。



皆で一丸となって、からあげ棒を売るんだよ。
それが今、このお店で一番大切なことなんだよ 』

 この古倉恵子の言葉に、ブックオフで涙拭ってたのは私です。
 
幼少期、鳥が死んだのを見て、『お父さん、焼き鳥が好きだから今日焼いて食べよう』と言った恵子はサイコパスの一種だと。 死んだ鳥=可哀想 と思えない人は『普通』ではない。歪んだ思考なんだと。最速スピードで合理的な考えは排除。その恵子の思考はおかしいと周りは治したがるのです。
 
『皆で一丸となってからあげ棒を売るんだよ』の言葉には、幼少期から治らない自分と、コンビニ人間として【世界の部品】となった恵子の18年間の重さを感じてならなかった。
 
 
 


「ちょっとすみません」
 
えっ?誰?恵子?
あ、違う。すみません。と我に返る。ブックオフで立ち読みしていること忘れてた。
後方から伸びる手は本を取りたかったのであろう。見知らぬ女性の白い腕をよけながら読み続けるのでした。『からあげ棒』のページどこだっけぇ?とペラペラ戻る。


 
 
 
「古倉さん」でもなく「恵子さん」でもない「古倉恵子」の無機質の中に感じる熱さを、面白いとユーモアだと笑える立場の人たちはうらやましい。余裕がある。
多分、恵子に「からあげ棒100本売ったところで時給は変わらないんだからさ」とコンビニのカフェオレ片手に笑うのかもしれない。
また、古倉恵子をサイコパス、恐ろしいと哀れむ立場の人たちは『普通』なんだと思う。『普通』の感覚。「ちょっと変わってる人だから近付かない方がいい」と周りに注意を促すだろう。
この゛コンビニ人間〟の中で言う『あっち側』の人たちから見た対岸の『こちら側』といえば、コンビニの中でしか自分を生きられないとアノ声を聞く恵子に、身体中が針でチクチク刺さされているように痛みを感じてしまうのです。

 
アノ声を聴き、コンビニに吸い込まれてく恵子。
アノ声の正体はコンビニの声。恵子を呼び寄せると一斉にコンビニの声たちが合唱し合う。そのラストに漂う疾走感。そんな脳内メロディーが走り抜けるもので、白羽が恵子を異常者扱いして去るも、もうそこはどうでもよかった。哀愁感もやってきては脳内メロディーひとり盛り上がる。【世界の部品】に戻れて「恵子、助かったね!」って。


 【世界の部品】
世の中の歯車が回転し始める時。その歯車の一つになって廻り続けている自分を世界の部品と呼ぶ恵子
 
 
 
「おかーさん、まだぁ??」
 
えっ?誰?子供?
あ。うちの。こども。ごめんごめんと番号札確認すると既に呼ばれているではないか。

 


 

違いは救い。だということをこの本から一番学びました。あれ、おかしい?
『普通』を好む世の中、古倉恵子の『普通ではない』その価値観の違いは白い目で見られる。だけど、『普通』の人が得られない幸せを得る=違いは救い こんな方程式に思う私も『コンビニ人間側(こちら側)』の人なのでしょうか。

 

 
゛コンビニの声 ゛


 
この表現すきだな。想像が止まらない(笑)
手元に本が無い分、想像できてコンビニまで突っ走りたくなる!ついでに肉まん。
 
私がコンビニ店員に感情を求めてないことを古倉恵子はよく知っている。
「いつもありがとうございます。肉まん好きなんですかぁ」などと古倉恵子は決して言わないのだ。マニュアル通り?無機質?いや、人の心をよく知っているから。その心を知らない店員こそ、ほっておかないことが優しさだと勘違いする。余計なことを言ったら足を運びにくくなるかもしれないと分かってくれてる恵子は、「ありがとうございます」に「いつも」は付け足さない相手と配慮を知っている。
 
そしてまた、古倉恵子なら私が肉まんを買いに行く曜日と時間を脳内に刻ませ、私の姿を扉越しに確認する前に〝温め中〟の付箋を剥がすだろう。「選ぶ楽しさを提供するのも仕事なのよ」と新人に教えては、ガラスケースの中をガラ空きにさせないよう配慮するのかもしれない。「あっそうそう、くれぐれも蒸かし過ぎには注意ね」と付け足して。
そして私の動き、しぐさにいちいち「めんどくさそうなお客さん」なんて、良い人と悪い人に分けないのだ。古倉恵子は。『今年もまた肉まんの種類増えた!?』そう驚く私の呟きともとれる声を背中で聴くと、いつでも右手でトングを手に取る準備をし、左手でスチーマーの扉を開けれる最速の動きを見計らうんだろう。


だって彼女は、〝コンビニ人間〟なのだから。
 

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「肉まんと一緒にからあげ棒いかがですか?今なら110円になります」

あぁ、古倉恵子の声が聴こえる。

もう、古倉恵子のいるコンビニどこなの(笑)

目標100本に貢献したいですよぉ(詳しくは¨コンビニ人間¨で!)